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保育士の優先順位のつけ方
「全部大事」から抜け出して、残業を減らす

保育の実践に役立つ情報をまとめています / 最終更新: 2026年8月

「優先順位をつけなさい」と言われても、保育の仕事は全部大事に見えます。子どもの安全、保護者からの相談、明日の準備、締切のある書類。どれも「後回しにしていいもの」に見えない。そのうえ、やっと座って書き始めた瞬間に泣き声が聞こえて中断する。気がつけば、書類だけが手つかずで夕方になっている。

優先順位がつけられないのは、あなたの能力の問題ではありません。判断の基準が決まっていないだけです。基準さえ決まれば、迷っている時間がまるごと消えます。この記事では、その基準を1つに絞ってお伝えします。

① なぜ保育士は優先順位をつけられなくなるのか

理由1: 中断が多すぎる

保育の仕事は、集中できる時間がそもそも細切れです。一つの作業を最後までやり切れる場面が少ないので、「終わっていないこと」がどんどん積み上がります。積み上がったものを見ると、脳は全部を同時に気にする状態になり、どれから手をつけるか選べなくなります。

理由2: 締切が見えないタスクが混ざっている

「そのうちやろう」の代表が、壁面の張り替え・教材の整理・写真の整理です。締切がないので、締切のあるものに押し出され続けます。ところが心の中では「やらなきゃ」と鳴り続けているので、やっていないのに疲れるという状態になります。

理由3: 断る言葉を持っていない

頼まれたことを引き受けるのは優しさですが、引き受けた分だけ自分の時間は減ります。「今日はここまでしかできません」と言えないと、優先順位は他人が決めることになります。

💡 まずここを認めてしまう
1日にできる量には上限があります。その上限を超えた分は「がんばりが足りない」のではなく、単純に時間がなかっただけです。ここを認めるところから始めると、仕分けがぐっとラクになります。

② 判断の基準はこれ1つだけ — 緊急度と重要度

使う基準は2つの質問だけです。

質問1: それは今日中にやらないと、誰かが困りますか?(=緊急度)
質問2: それをやらないと、子どもや保護者に影響が出ますか?(=重要度)

この2つの答えで、すべてのタスクは4つのどれかに入ります。

① 今すぐやる緊急 × 重要
けがの対応、保護者への謝罪や連絡、今日の午睡チェック、明日の遠足のしおり
② 時間を取ってやる緊急でない × 重要
指導計画、環境の見直し、子どもの記録、後輩への指導、自分の休息
③ 人に頼む・仕組みにする緊急 × 重要でない
物品の補充、掲示物の貼り替え、行事の買い出し、電話の取り次ぎ
④ やめる・減らす緊急でない × 重要でない
凝りすぎた壁面、手書きにこだわった掲示、誰も見ていない記録
⚠ いちばん大事なのは②です
残業が減らない人は、①と③に一日を使い切って、②が永遠に来ません。②は締切がないので後回しにされ続けますが、②をやらないから①が増えるという構造になっています。環境を整えていないからトラブルが起き、記録をためるから締切前に地獄を見る。②の時間を先に予定に入れてしまうことが、残業を減らす最短ルートです。

③ 【無料ツール】今のタスクを、その場で仕分ける

頭の中にある「やらなきゃ」を、思いつくままに入れてください。2つの質問に答えるだけで、4つに仕分けます。登録も、どこかに送信されることもありません。この端末の中だけに保存されます。

※ 入力した内容はこの端末のブラウザにだけ保存され、外部には一切送信されません。子どもや保護者のお名前は入れないでください。

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④ 保育の「あるある」を実際に仕分けてみる

言葉だけだと分かりにくいので、よくある場面をそのまま仕分けてみます。

やること仕分け理由と、どうするか
子どものけが・体調の変化①今すぐ迷う余地がありません。他を全部止めて対応します
保護者からの相談メモ①今すぐ返事が遅れるほど不信になります。5分で返せる形にする
今日の連絡帳①今すぐ今日中に出るもの。ただし完璧を目指さない(下記⑤)
月案・週案②時間を取る締切前にやると必ず残業になります。先に時間を確保する
子どもの記録・個人記録②時間を取るためるほど思い出せなくなり、時間が倍かかります
保育室の環境の見直し②時間を取るここをやると①のトラブルが減ります。投資だと考える
後輩への声かけ・指導②時間を取る今日やらなくても困りませんが、やらないと来月困ります
行事の買い出し③頼むあなたでなくてもできます。フリーの職員や事務へ
掲示物を貼る作業③頼む作るのは保育士、貼るのは誰でもできる作業
凝った壁面の制作④減らす子どもの作品を主役にすれば、大人の作業は激減します
手書きにこだわった掲示④減らす印刷でいいものは印刷に。翌年も使い回せる形で残す
自分の休憩・休息②時間を取る削ってはいけません。削った分、来週のミスが増えます
💡 「今日やらなくても誰も困らないこと」を1つ探す
毎朝、リストの中から1つだけ「これは今日やらない」と決めてしまいます。1日1つでも、1か月で20個ぶんの時間が返ってきます。

⑤ 書類がたまらない人がやっている3つのこと

1. 思い出す時間をゼロにする

書類に時間がかかる原因の大半は、書くことそのものではなく「あの日、何があったっけ」と思い出す時間です。その場で5文字のメモを残すだけで、この時間が消えます。「Aちゃん 積木 高く」「Bくん 靴 自分で」——これだけで、あとから文章にできます。

メモの場所は、エプロンのポケットのメモ帳でも、スマホのメモアプリでも構いません。大事なのは、あとで探さなくていい場所が1つに決まっていることです。

2. 完璧な1回より、雑な3回

まとまった時間ができたら書こう、と思っているうちは書けません。「5分あったら1行だけ書く」に切り替えます。文章の質は後から直せますが、書いていないものは直せません。

3. 使い回せる形で残す

行事の反省、おたよりの文面、保護者への連絡文。毎年ゼロから書いていませんか。去年のものを取り出して直す形にすると、時間は3分の1になります。翌年の自分のために、「来年はこうする」を1行だけ添えて保存しておいてください。

💡 文章そのものを短くする方法
文章を書く時間が長い方は、連絡帳の書き方と例文集と、AIの添削機能もあわせてどうぞ。書いた文章を貼るだけで、やわらかい言い回しに整えてくれます。子どもの名前は入力しないでください。

⑥ 「やめる」を決めないと、優先順位はつかない

優先順位をつけるとは、順番を並べることではありません。やらないことを決めることです。並べただけでは、下のほうにあるものが結局あなたの残業になります。

やめる候補の見つけ方

やめることを提案するときの言い方

× 「これ、意味ないと思うんですけど」
「この時間を、子どもと関わる時間に回したいのですが、今年は形を変えてもいいですか」

× 「もう無理です、できません」
「今週は◯◯と◯◯で手一杯なので、これは来週に回してもいいですか」

やめたい理由ではなく、その時間を何に使いたいかを言う。これだけで、通りやすさがまったく変わります。

⑦ おすすめのアプリと、選ぶときの注意

⚠ 何より先に、これだけは
アプリはとても便利ですが、子ども・保護者・職員の氏名、園名、住所、写真は入力しないでください。「Aちゃん」「本園」のように置き換えます。園の情報を外部サービスに保存することについては、まず園の方針を確認してください。
Google ToDo リスト完全無料

Gmail・Googleカレンダーとつながっていて、スマホとパソコンで同じリストが見られます。すでにGoogleアカウントを持っているなら、いちばん始めやすい選択肢です。機能はシンプルで、迷いにくいのが利点。

Microsoft To Do完全無料

「今日の予定」という画面があり、朝にそこへ入れたものだけをやるという使い方ができます。②のタスクを毎朝ひとつ引き上げるのに向いています。

TickTick無料+有料あり

タスク管理に加えて、カレンダー・ポモドーロタイマー・習慣の記録まで入っています。「25分だけ集中して書類を書く」を続けたい方に。無料でもかなり使えます。

Todoist無料+有料あり

プロジェクトを2段階で分けられるので、「クラス」「行事」「自分のこと」と整理したい方に向いています。

TimeTree無料+有料あり

予定を人と共有するのが得意なアプリです。ご家庭の予定を家族と共有して、「この日は自分が帰れる日」を先に決めておくのに使えます。

💡 アプリを続けられない人へ
アプリが続かないのは意志の問題ではなく、入れる手間が、思い出す手間より大きいときです。まずは紙とペン、あるいはこのページの仕分けツールから始めてください。続かなかったアプリを何個も試すより、続いた方法を1つ育てるほうが早く着きます。

⑧ 明日から変える、たった1つ

全部やろうとすると、これも②のまま終わってしまいます。1つだけ選んでください。

もし今、こう感じているなら明日やること
何から手をつけるか分からない朝、このページの仕分けツールに3分入力する
書類がいつもたまるその場で「5文字メモ」を残す。場所を1つに決める
時間があっという間になくなる②のタスクを1つ、予定表に時間ごと書き込む
頼まれごとで一日が終わる「今日はここまでです」を1回だけ言ってみる
疲れが取れない休憩を「やること」としてリストに書く
最後に
優先順位をつけるのは、手を抜くためではありません。子どもの前に立つときのあなたが、いちばんいい状態でいるためです。削るのは、子どもと関わる時間ではなく、大人の都合で増えた作業のほうです。
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本記事は現役保育士の実践をもとにした一般的な内容です。園の方針や自治体の指導を優先してください。
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