保育士のポケット > 職種別のAI活用
保育園でAIは何ができる?
職種別に、できることを整理しました
保育の実践に役立つ情報をまとめています / 最終更新: 2026年8月
「AIで業務がラクになる」と言われても、自分の仕事のどこで使えるのかが見えないと、手を出しようがありません。園長と保育士では困っていることが違いますし、栄養士と事務ではまったく別の仕事をしています。
そこでこの記事では、職種ごとに「この場面で使える」を具体的に並べました。そのまま貼って使える指示文(お願い文)も付けています。ご自身の職種のところだけ読んでいただければ大丈夫です。
⚠ 最初に、これだけは
どの職種でも共通して、子ども・保護者・職員の名前、園名、住所、生年月日、写真は入力しません。「Aちゃん」「本園」のように置き換えてください。AIの答えは間違うことがあるので、制度・法令・医療に関わる内容は必ず公式資料で確認してください。最終的な判断は、必ず人が行います。
① 園長経営・労務・対外的な文書 — 「ゼロから書く時間」がなくなります
使える場面
- 保護者向けの通知文 — 行事の案内、料金改定のお知らせ、感染症発生時の連絡。伝えにくい内容ほど、下書きがあると助かります
- 職員向けの文書 — 就業規則の説明、面談の案内、方針の共有文書
- 採用に関わるもの — 求人票の文面、園見学の案内、面接で聞く質問の整理
- 会議資料の下ごしらえ — 議題の整理、論点の洗い出し、決定事項のまとめ方
- 事業計画・報告書 — 構成案づくり、書きにくい部分の言い換え
- クレーム対応の下書き — 感情的にならない返答文を、一度AIに整えてもらう
- 研修計画 — 年間の研修テーマの案出し、キャリアアップ研修との対応づけ
そのまま使える指示文の例(保護者向け通知)
あなたは保育園の園長です。保護者に向けたお知らせ文を書いてください。
【伝えたいこと】○○(例:9月から延長保育の時間が30分延びること)
【条件】
・A4半分程度、敬体(です・ます)
・保護者に不安を与えない、やわらかい表現
・変更の理由 → 具体的な内容 → お願いしたいこと の順
・専門用語は使わない
園長ならではの使い方
「反対意見を出してもらう」のが有効です。新しい取り組みを始める前に「この案に対して、職員や保護者から出そうな懸念を10個挙げて」と頼むと、自分では気づかない視点が出てきます。決定前の点検に使えます。
② 主任指導計画・人材育成・調整役 — 「言葉にする」作業を助けてもらう
使える場面
- 指導計画の点検 — 提出された週案・月案を読んで、ねらいと内容がずれていないか見てもらう
- ねらいの言い換え — 抽象的な文を、具体的な子どもの姿に書き換える
- 園内研修の企画 — テーマ設定、進行台本、グループワークの問いづくり
- 職員へのフィードバック — 伝えにくいことを、相手を傷つけずに伝える言い方の相談
- シフト調整の考え方整理 — 人員配置の考え方や、公平性を保つ基準の言語化
- 行事の振り返り — 出てきた意見を整理し、来年への引き継ぎ事項にまとめる
- マニュアル作成 — 散らばっている手順を、読みやすい形に整える
そのまま使える指示文の例(後輩へのフィードバック)
あなたは保育園の主任です。後輩の保育士に改善を伝えたいのですが、
本人のやる気を損なわない言い方を3パターン考えてください。
【状況】○○(例:一斉活動で、待つ時間が長くなってしまっている)
【条件】
・まず良かった点に触れる
・「なぜそうするとよいか」の理由をつける
・命令ではなく、一緒に考える言い方で
主任ならではの使い方
職員から相談を受けたとき、返事を考える前にAIに状況を整理してもらうと、感情と事実が切り分けられます。「この相談の背景にある本当の困りごとは何だと考えられますか」と聞いてみてください。
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園全体でICT・AIの導入を考えるときの参考に
③ クラスリーダーチーム運営と後輩指導 — 段取りと言葉かけを助けてもらう
使える場面
- 週案・月案のたたき台 — 年齢と季節を伝えて、案を出してもらってから園の実態に直す
- 活動の組み立て — 「雨の日、2歳児10人、30分」など条件を伝えて案を出してもらう
- クラスだよりの文章 — 書き出しが浮かばないときの取っかかりに
- 役割分担の整理 — 行事の準備を、誰がいつ何をするかの一覧に整理
- 新人への説明の準備 — 「なぜこうするのか」を言葉にしておく
- ヒヤリハットの共有文 — 起きたことを、責める書き方にせずに共有する文にまとめる
そのまま使える指示文の例(活動案)
2歳児クラス(12人)向けの、室内での活動案を5つ考えてください。
【条件】
・雨の日、時間は30分程度
・特別な道具は使わず、園にあるもの(新聞紙・ビニール袋・フープ)で
・「ねらい」「準備するもの」「進め方」「配慮すること」を各案に書く
・体を動かすもの2つ、落ち着いて楽しむもの3つ
④ 保育士書きもの・製作・保護者対応 — いちばん時間を取られるところ
使える場面
- 連絡帳の添削 — 自分で書いた文を整えてもらう。まず自分で書くことが大切です
- 子どもの姿の言い換え — 「落ち着きがない」を、前向きな表現に
- 製作アイデア — 季節・年齢・材料を伝えて案を出してもらう
- 手遊び・絵本の選定 — 「梅雨の時期・1歳児」などの条件で候補を挙げてもらう
- 保護者への伝え方 — ケガの報告、気になる姿の共有など、言い回しの相談
- 外国籍のご家庭とのやりとり — 連絡帳の翻訳、やさしい日本語への書き換え
- 行事の司会台本 — 進行の流れとセリフの下書き
- 保育所保育指針の理解 — 分からない用語を、かみ砕いて説明してもらう
そのまま使える指示文の例(連絡帳の添削)
保育園の連絡帳に書く文章を添削してください。
【条件】
・保護者に伝わる、あたたかい表現に
・子どもの姿が目に浮かぶよう、具体的に
・150文字程度
・お名前は「Aちゃん」のままにしてください
【自分で書いた文】
(ここに自分の文章を貼る)
保育士がいちばん気をつけたいこと
連絡帳や指導案をAIに丸ごと書かせないでください。何をどう書くか悩む時間の中で、私たちはその子をもう一度思い出しています。その過程を飛ばすと、文章は上手くなっても子どもを見る目は育ちません。まず自分で書いて、それを整えてもらう。この順番を守ってください。
⑤ 看護師保健だより・感染症対応・職員研修 — 正確さが命の分野
使える場面
- 保健だよりの作成 — 季節の健康テーマを、保護者にわかりやすい言葉で
- 感染症の説明文 — 発生時のお知らせ、登園のめやすの伝え方
- 職員向け研修の資料 — 嘔吐処理の手順、エピペンの使い方、心肺蘇生の復習
- 与薬・アレルギー対応の手順書 — 確認手順を、抜けのない形に整理
- 保健計画 — 年間計画の構成案
- 受診の目安の一覧 — 保護者に渡す資料のたたき台
- ヒヤリハットの分析 — 記録を並べて、共通する要因を整理してもらう
そのまま使える指示文の例(保健だより)
保育園の保健だよりの原稿を書いてください。
【テーマ】○○(例:夏の水分補給と熱中症予防)
【条件】
・保護者向け、A4半分、敬体
・家庭ですぐできることを3つ、箇条書きで
・不安をあおらない書き方
・薬や診断に関する断定的な表現は避ける
看護師の方へ、特に強くお伝えします
AIはもっともらしい誤りを自信たっぷりに答えます。登園基準、感染症の潜伏期間、薬の扱いなど、数字や基準が関わるものは必ずこども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」や日本小児科学会などの一次資料で裏を取ってください。AIは「文章を整える道具」であって、「調べる道具」ではないと考えるのが安全です。
⑥ 栄養士・調理員献立・食育・アレルギー — 案出しと文書づくりに
使える場面
- 献立の案出し — 旬の食材、行事食、地域の郷土料理のアイデア
- 代替食の考え方 — アレルギー対応で、除去した栄養をどう補うかの検討材料
- 給食だより — レシピ紹介、家庭で作れるアレンジの提案
- 食育活動の企画 — 年齢別のクッキング保育、栽培活動の案
- 子ども向けの説明 — 食材の話を、3歳児にもわかる言葉に
- 発注量の考え方 — 人数と提供量から必要量を計算する式の整理
- 衛生管理の手順書 — 大量調理施設衛生管理マニュアルに沿った手順の整理
そのまま使える指示文の例(食育活動)
保育園の食育活動の案を5つ考えてください。
【条件】
・対象:4歳児
・時期:秋
・調理室を使わず、保育室でできるもの
・「ねらい」「準備」「進め方」「安全面の配慮」を各案に
・アレルギーや誤嚥のリスクにも触れてください
アレルギー対応は、AIに判断させない
献立の案出しには使えますが、「この子が食べられるかどうか」の判断は絶対にAIに委ねないでください。医師の指示書と園のマニュアルがすべてです。栄養価計算も、実際の給与栄養目標量との照合は必ずご自身で行ってください。
⑦ 事務書類・集計・問い合わせ対応 — もっとも効果が出やすい職種
使える場面
- 各種文書の作成 — 案内文、依頼文、お礼状、見積依頼
- 表計算の式づくり — 「この計算をExcelでやりたい」と伝えると関数を教えてくれます
- データの整理方法 — 名簿や集計表の作り方、ミスが起きにくい表の設計
- 電話・来客対応の言い回し — 断りづらい依頼への返答、クレームの一次対応
- 行政提出書類の下調べ — 用語の意味や、記入項目の意図を理解する助けに
- 備品管理 — 発注リストの整理、在庫管理表の設計
- 議事録の整理 — メモを読みやすい議事録の形に整える
そのまま使える指示文の例(Excel)
Excelで使う関数を教えてください。
【やりたいこと】○○
(例:A列に日付、B列にクラス名、C列に人数がある表から、
クラスごとの月合計を自動で出したい)
【条件】
・関数の意味を、パソコンが苦手な人にもわかるように説明する
・実際に入力する式をそのまま書く
・よくある間違いも教えてほしい
事務職はAIの効果が最も大きい
文書作成と表計算は、AIがもっとも得意とする領域です。個人情報を入れずに済む仕事が多いのも利点です(氏名欄は「氏名」のままで式は作れます)。まずここから園に導入すると、成功体験を作りやすくなります。
⑧ 園全体で始めるときの順番
いきなり全職員に「使ってみて」と言っても、まず広がりません。順番があります。
- 事務・園長から始める — 個人情報を含まない文書作成で、効果を実感する
- 園のルールを決める — 入力してはいけない情報、使ってよい業務の範囲、最終確認は人が行うこと。この3つを紙一枚にまとめる
- 園内研修で一緒に触る — 各自で勉強してでは格差が広がります。全員で1回、同じ画面を見ながら
- 保育士に広げる — 連絡帳の添削など、効果が見えやすいものから
- 看護師・栄養士へ — 正確さが求められる分野なので、確認の習慣ができてから
覚えておきたい合言葉
「名前は入れない、判断は任せない、事実は確かめる」
この3つを守れば、大きな事故はほぼ防げます。園内研修でそのまま使ってください。
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※ 本記事は一般的な活用例をまとめたものです。AIの回答には誤りが含まれることがあります。制度・法令・医療・栄養に関する内容は、必ずこども家庭庁・厚生労働省等の公式資料でご確認ください。園としてのご判断・最終確認は、必ず人が行ってください。